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今回の作品展会場はエプソンスクエア丸の内 エプサイトギャラリー。
東京国際フォーラムの隣、「新国際ビル」の1階にある。
ビックカメラも東京国際フォーラムとJR線に沿って横並びなので、
土地勘のない方は、まずはビックカメラを目指しても良いかもしれない。
ビックカメラと東京国際フォーラムの間の道を
JR線を背に1ブロック先に行けば”EPSON”の文字が見えてくる。
エプソンスクエア丸の内には本来3つのエントランスが存在するが、
コロナ対策のため”メインエントランス”のみが出入り口となっているのでご注意を!
また営業時間も11:00〜17:00と短縮営業のためギャラリーも早めの閉館となる。 |
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ギャラリー内は、白壁に明るい木目のフローリングとなっており、
広さもほぼ長方形といった空間なので圧迫感が少ない。
今回は黒・濃茶・白のフレームでの展示なのだが、
白のフレームの効果か明るい会場で閉塞感が少ない気がした。
落ち着いたあの独特な雰囲気も嫌いではないのだが、
今回は展示の仕方と相まって
この明るい雰囲気がとてもマッチしていたように思う。
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ギャラリーへの入口は、
私が伺った日はエントランスで案内してもらえたが
メインエントランスを進んで右手すぐになる。
パーティションで区切られた少し狭い入口になっているので
最初はキョロキョロしてしまったが、
すぐ目に入る「epSITE→」の案内を探すとよい。
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今回の写真展は会場に入った瞬間、
「(点数)多っ!!、なんか賑やか!」というような感想が出てきた。
今までの「岡嶋和幸写真展」といえば、
統一感と落ち着いた雰囲気の中で作品を見ることが多かったが、
今回は”シックな作品をポップ”に見せている。
ポップというの表現が正しいかは置いておくとして、
会場の空間だけを味わっているとこのような表現が出てきたのだ。
今までと異なり圧倒的に点数が多く、比較的長めの文章を囲んで
いくつもの作品の輪ができあがっている。
よく準備できたなぁという声も聞こえてきたが
実はデジタルカメラマガジンの連載「海のほとり」をまとめたものだそうだ。
海岸に沿った各地を写真に収めていこうということである。 |
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海岸という共通項以外、切り口は様々といってもよい。
なぜならところ違えば気候や景色、慣習などといったものも変わるからである。
それに日によって気分も変わるだろうからコンセプトの置き方も変わってくるのだろう。
また、もう少しツッコめば雑誌の連載、つまり作品ではなく仕事としての向き合い方に
チラッと触れているものもあった。
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読み物といえるボリュームの文章と
それを囲うように写真が展示されている。
このような展示方法を目にすることもあるにはあるが、
今回の写真展で感じたのはリズム。
リズムというかテンポというか大小様々な用紙サイズが
どこかしらヴィブラフォンのように柔らかな余韻を残して
落ち着いた高低のリズムを奏でているようにも思えた。
点数が多いだけに、ともすると圧倒感だけが
全面に出てしまいがちだが
絶妙な強弱の付け方が会場全体のメロディを作っている
と感じるのは私だけだろうか。
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平日だったこととコロナの影響からか、
来場者で混雑するような場面はなかったが
それでも来場者が途切れたのは夕方の数分間だけ。
まぁ、理由の一つには写真の鑑賞だけでなく
文章を丁寧に読む分、滞在時間が長くなるということもある。
作者曰く、「斜め読みでいいのに〜」だそうだ。
いや、でも文章があったら読むでしょ!(笑)
飾ることのない小気味良い文章は一種のエッセイのようにもなっている。
何を考え、感じていたのか・・・
「文章を読んでから写真を見るとなるほどとよくわかる」
という声もちらほら聞こえていた。
何だろう?と読み始め、引き込まれてしまった人も
少なからず多かったのではないだろうか? |
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沿岸を訪ねるという試みは
作者が作品作りのテーマの一つとしている「風土」にも関連している。
今後の予定としては日本中の沿岸を撮り歩くつもりだそうだ。
文面のひとつに日本地図を作った伊能忠敬に触れたものがある。
沿岸を歩き海岸線を望むことで、伊能忠敬を思い出したのだろうか、
幼い頃から地図が好きだったという作者は、
ふと同じように日本の輪郭を写真で写し出そう!と思いついたようだ。
そして取り終えた時、各地に根付く風土というものも
浮き彫りになるのではないかと期待とともに目下挑戦中という事だろう。
前回の写真展「風と土」ではアイルランド ディングルの風土をテーマとしたが、
今回は日本版の第一歩ということになるのだろう。
一方、特別な場所にわざわざ出掛けなくても
身近な風景にも新しい発見があることにも触れている。
ドラマティックなシーンや感動的な場面は、いつもの景色にも存在し
当人の気の持ちようで見つけることができるということである。
実際、作者の生活圏内で撮影された心惹かれる写真が数多く展示されている。
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各作品は、
連載がベースになっていることから、様々な写真が並んでいる。
カテゴリーごとが小さな写真展であり、ある方の言葉を借りると ページを繰るように、次の写真展が飛び込んでくるといった感じだ。
中には、トーンはお馴染みのテイストだけど、こんな写真も撮るんだ・・・と思えるような絵柄もある。
しかし当然と言えば当然ではあるが、作品が放つ撮影時のテンションというか、雰囲気は今までの写真展と同種のものである。
一瞬は戸惑いながらも、「うん、やっぱり岡嶋作品!」と思った方も少なくないのではないだろうか。
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祭好きで猫好きな作者。
今回の写真展では両方ともテーマの一つとして盛り込まれている。
どちらも”参加する(遊ぶ)”方が好きな作者ゆえ、これらの写真がお目見えするのは珍しい。
これぞ”小さな写真展”の醍醐味のなのだろう。
地元を早朝からブラリと撮りに行くかと思えば、しっかり現地をリサーチして撮影に臨むこともある作者。 スタンスは違えど出会いに敏感とういことは共通事項である。
下は河川敷に咲く満開の桜。
葛西臨海公園の外れ、旧江戸川の河口で出会ったそうだ。
界隈を埋め立てや護岸で様変わりしてきたことを思いながら、撮影散策をしていたようだ。
そして見つけた一本の木から未来の様子へと思考を飛ばし、証拠の一枚として収めたらしい。
なんとも気の遠くなる”定点観測”!!
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会場にはデジタルマガジンの連載「海のほとり」を
まとめたファイルも置かれている。
このタイトルの海のほとり、
海辺にまつわる言葉の中から決めたそうだ。
繊細で微妙な陰影を好む作者としても、
柔らかい雰囲気をもつこの言葉の音や形が気に入ったのだろう。
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ビル内のギャラリーエントランス横にはスライドショーも大画面で写し出されている。
エプサイトギャラリーをご存じの方の中にはギャラリーエントランスを目指される方も多いようで、
まず目に入ったスライドショーを見て、すぐ左手のエントランスから入ろうとされる。
しかしここは閉鎖中のためご用心を!!
案内板も英語表記のためか、日本人には目に入りにくいようだ。(苦笑)
定期的に換気のため開かれるが、入れないのでアシカラズ。
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新たに始まった試みの第一歩。
2020年、コロナ年と何かと忘れにくい年の開催に少しこだわった。
さて、踏破の時はどのような年になっているだろうか。
願わくば、ガラリと変わってしまった、この第一歩の年が笑い話となりますように。
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