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8月8日土曜日 13:00。
トークショーの始まりである。
この回と翌日9日日曜日 13:00からの
2回開催された。
どちらもトークショーを目指して来られた方で
ギャラリーの人口密度は急上昇!
それでもなんとか作者の顔を見ながら
話を聞くことができるラッキーな状況であった。 |
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「え〜〜、では・・・」とトークショーが始まる。
まずは、全体としてどのように撮ったのか?
もちろん作品の事に関してもだが、
デジタル撮影についてなども交え
少しずつこだわりを明かしていく。
そんな中で、両日において真っ先に耳にしたフレーズは
「今回の写真は、色はつけてません!
すべて撮った時の色です!」
声を大にして(笑)話された理由には、
毎日のように来る方くる方、
「色はつけたんですか?
フィルターワークですか?」
と異口同音に質問されたところにある。
私がおじゃました時の様子からすると
来場者で作者に声を掛けられた方の
半数以上といっても過言ではないのかもしれない。(苦笑) |
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ちょ〜っとばかり、
同じ回答にお疲れ気味な作者ゆえか(笑)、
必ず聞かれるであろう質問に
まずは先手必勝!とばかりに先に答えたようである。
まぁ、先に言っちゃえ〜!ということで、
なにも勝ち負けを競ったわけではないのだが・・・(笑)
ちなみに、水そのものの色は無色透明。
それが反射によって「水が見ているもの」を
私たちも目にすることが出来る。
青い海と表されるのもこの写り込みのひとつであることは
知っている人も少なくないだろう。
「潮彩」においては、
海に朝夕その時々の空が映り込むのである。
また濡れた砂浜も”水”を含んでいるから空を映すのだ。
そして、スローシャッターゆえにその色の鮮やかさが強調され
見る側が「こんなにも色が!!」と驚くほどの
多彩なな色彩表現がかなったという。
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コンセプトとしては、地元の海を絵画的に撮りたい。
でも、海の風景というわけではなく、
波のディテールやゆらぎで表現する「潮」、
写り込みの色で表現する「彩」ということで
写真すべてに、海の周囲の環境景色は一切なく
波やゆらぎと色のみで構成されている。
では、なぜ地元の海なのか?
普段から見ているだけに思い入れも多いだろうし、
だからレンズを向けることにもなったのだろうが
何より「いつでも行ける」ことだという。
ただ気軽にという意味ではなく、
自室から空を見てベストなタイミングに行き、
撮影することが可能だからということである。
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そしてデジタル撮影について少し・・・
見ようと思えば可能な距離感なので、
紙に書きながら説明する岡嶋さん。
今回の作品は「コントラストを少し整えた」
というような表現をしているのだが、
この結果を出すアプローチの仕方はいくつかあると思う。
その中で選択した作業の説明である。
作業といってもほとんどがこの一工程だけで、
「なにも加工してないんだよ」とアピールもしたかったのかも?!(笑)
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参加者も目指して来られた方々だけに真剣な表情。
年配の方も多かったように思う。
みなさん写真の話やデジタルの話すべてにおいて興味深げに、
時には「ウンウン」とうなずきながら聞かれていた。
土曜日に至っては、プロカメラマンなどのお顔も多数見られ、
しかもどちらかというと、遊びに来たよ〜〜♪ではなく、
アマチュア同様「どうやったの?」という感じで
岡嶋さんの取り組み方に興味津々。
「ガッツリ話を聞きに来たよ!」という雰囲気だった。
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開催するまでは、「来るかな〜?」などと
ちょっぴり気弱な作者だったのだが(笑)
いざ始まると、ご本人の顔が見られて、
作品を指しながら話ができるギリギリの人数であった。
これが多くなってくると、動くことができず
声を聞くだけになってしまうのでもったいなくなるし、
ちょうど作者が気持ちよくしゃべれる(笑)
参加者数だったのではないだろうか。
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場所を移動して裏側の壁面へ。
動物園や植物園などの解説ツアーよろしく
ひとつひとつの作品前では話せないため、
エリアごとの説明となる。
とはいえ「あの写真なんかは〜・・・」と
目を向ければ作品を見ながら説明が聞けるので
一段とわかりやすい。
今回の会場構成は概ね、
長辺の4壁面がディテールを持った作品、
短辺の2壁面にゆらぎの作品が飾られているそうだ。
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スローシャッターで撮ったことは想像に難くない作品。
しかしそこにも作者ならではのこだわりがある。
単純に固定してスローシャッターを切ったのではなく
波に合わせて流し撮りをしているという。
一般的に流し撮りと言うと鉄道写真などを思い出すだろう。
岡嶋さんの話によると、仲間の鉄道写真家などは、
流し撮りはほとんど手持ち。
しかし、今回の作品の多くは三脚を付けて撮っているそうだ。
想像するに波の場合、鉄道などよりも
スピードが緩やかだからなのかもしれない。
きれいななめらかな流れを表現したい作者としては、
不必要なブレの対策として三脚を使用したということだろう。
それと、冒頭での鮮やかな色の表現についても
スローシャッターを選択したこだわりのひとつと言えよう。 |
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また、デジタルではよく「白飛び・黒つぶれは避ける」と言われる。
しかし、多くの最終出力において白飛び・黒つぶれは必須という作者。
プリント作品の場合は同時JPEGを使うことはないため、
出力調整を見越してよりデータが多く残るよう、
白飛び・黒つぶれを抑えたRAWを撮っておくそうだ。
作者は撮る以前の段階から、
構成・タッチ・紙・見せ方などすべてをイメージして撮影に臨むという。
今回はハイキーな絵柄が多いためか、黒つぶれというよりも白飛びを重視する。
黒つぶれはインクによって作られるが、白飛びは紙の色そのものである。
「白い波頭」「透明感のある色」「写真じゃなく絵画」が念頭にある為
白色度の高い、イメージにあうマット紙をチョイス。
透明感の視覚効果を狙うため余白を大きく取った。
この余白部分はマット加工でも良いのだが、
写真の中の白とマット部分の白が合わなくなるので
大きな紙にプリントをした作品に仕上げたそうだ。
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そして、今回の撮影で作者が感じたこと。
「レンズはやっぱり単焦点!」
他の作品ではじめズームを使ったそうだが
どうも写真にキレがない・・・。
単焦点だとレンズ・構図・立ち位置など
イメージに合わせた判断が瞬時にできるのに、
ズームだとなぜだか、迷ったあげく
ここでいいかな?とつい楽をするらしい。(笑)
結局、ズームを使いかけた作品も
すぐに単焦点にかえたそうだ。
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作品の展示にもこだわりがある。
今回は、同じ大きさの額に大小の横位置作品が並ぶ。
しかし、すべて額の中央に収まっているわけではない。
小さい作品が明らかに少し上部へと片寄っている。
これは見る側の目線を一定にするため。
パッと会場を見渡した時にスッキリ見えるように額が揃えられ、
作品を見る時に同じ目線で見られるよう作品の位置を変えたそうだ。
また、あえて簡単に同じ大きさの額と書いたが、
真ん中の2面は額自体が縦横と並んでいる。
写真の大小だけでなく額という立体的な物質でも
ゆらぎ・うねり・波のような動きを表現できれば、、、
という狙いがあるようだ。
それから、余白効果は先に述べた以外に、
余白も含めての作品として見てもらえるようにという思いもあるという。
本来の印刷範囲の鑑賞距離ではかなり近い。
しかし、そうではなく、少し引いてゆったりと見て欲しいという願いが
余白の部分に込められている。
たしかに額の大きさだと少し引いた位置が鑑賞距離になるかも。(^^)
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約1時間におよぶトークショーも終了。
最後に、
「で〜(ペラペラ)、実はぁ、、、(ペラペラ)
ここに書いてあるんですよ(笑)」
今回の写真展に至る作業についてが、
デジタルフォトの最新号(8月号)と
バックナンバーに連載されている。
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ページを焦りながら探す
デジタルフォトの疋田さんと岡嶋さん。
そして、それをカメラに収めようとしている
カメラマンの種清豊さん。(笑) |
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正直、斬新でも圧倒される作品たちでもない。
癒される作品だが、ただほのぼのとユッタリゆるゆるとしているわけでもない。
「見せる」事に対してのきめ細やかなこだわりが、飽きることなくいつまでも新鮮な作品につくりあげているのであろう。
また、その苦労を誇示することなく、自然で当たり前に見せてくれる岡嶋さんに感謝の拍手である。 |