|
今回の作品展会場はソニーイメージングギャラリー銀座。
銀座四丁目の交差点の角、銀座プレイスの6階にある。
東京メトロを利用した場合、地下通路で直結いるので
雨天でも便利である。
私のとっては今回初めての会場で環境も雰囲気も判らず少々緊張気味だったが、白い壁面で比較的明るめの空間となっていた。
入口から右に細い通路を行くと長方形のフロアに出るという作りだ。
広い!というわけではないものの壁が白いせいか、とてもゆったりとした印象である。
|
|
|
白い会場には、白木のフレームで額装した
小さな写真と大きな写真で構成されている。
入口から通路には小さい写真が誘導よろしく一列に並び、
フロアには見応えのある大きな写真が展示されていた。
|
|
|
|
|
|
作品展の開催は3月1日からであるが、
最初の3日間は写真関連イベント「CP+」の真っ最中!
ということで、ご本人の在廊を狙って4日に伺った。
この日はあいにくの冷たい雨。
その上、プロアマ問わず多くの写真関係者が大イベントであるCP+に向かうためか、知り合いに会うことは少なく、来場者自体も比較的少なめだったと思うが、
その来場する方の外国人の多さに目を見張った。
中でも、欧米系であろうと思われる方の割合が多く、また旅行者が多く見受けられた。
英語が話せないという岡嶋さんも内心ビックリしていたようで、
ご本人曰く”話掛けないでオーラ”を放っていたらしい(笑)
もちろん、日本人の方も来場されていて熱心に観ていかれたのは言うまでも無い。
|
|
|
|
|
テーマは題名通り、「風と土」。
つまり、風土(ふうど)を主軸に置いたものである。
行ったことのない私が写真を見て感じたものは「気難しく、無骨」。
会場にある作者の説明文にもこの言葉が書かれているので、他の表現を探したが、
わかりやすい言葉ではどうにもこの表現以外は見つからなかった。
|
|
|
実際、強い偏西風が吹くため樹木は育たないらしく、草と岩と土のイメージが強い。
天候も一日の中でかなり変化するようで、なんだか、この土地自身の赤裸々な感情がダイレクトに表立っているんじゃないか?と少々ファンタジーなことを思ってしまった。(苦笑)
|
|
|
|
この作品群に人物の登場はない。
しかし建物や道、そしてひつじ達の存在がたくましく根付いて生きる様を
暗に物語っているようにも思えた。 |
|
|
|
今回の見所は、なんといっても質感の良さ!
少しでも判ってもらえればと作品の一部分をアップで撮ってきたが如何だろうか?
ちなみに、個人的には「んー、もう一歩・・・」というところなので、会場での見所ポイントということでアシカラズ。
ちなみに、2007年に発表された「リング・オブ・ディングル」ではレタッチが必要とされていたが、今回は、ほぼ撮って出し。
”ほぼ”と付けたのもプリントの際に明るさなどの多少の調整はされているだろうなとの憶測である。
石の風合いや羊の毛質がなんとも鮮明で、大判の写真などでは、ふと実際の景色を見ているかのような錯覚に陥りそうになる。
一般的に鑑賞距離を守るのがマナーではあるが、実物と錯覚して引き寄せられてしまうのは致し方がない。(苦笑)
ディングル自体は10年経っても変わっていなかったそうだが、カメラ・レンズの10年は大きく変わったということだろう。
|
|
|
もう一つは用紙とライティングによる明暗マジック。
岡嶋さんの用紙へのこだわりはファンにとって周知の事実だろう。
今回も10枚以上の紙を試した上でのチョイスだという。
チョイスされた紙はキャンソンのバライタ紙。
こだわった点としては紙色が”自然な白”というところだ。
しかし、いざ展示してから思わぬ効果が発覚!
会場のライティングによって白い部分は輝き、
黒い部分は光を吸収するかのように沈むという点だ。
この紙と、これまたこだわったライティングの合わせ技で明暗の妙が際立っている。
|
|
|
|
|
日本語での質問に(笑)丁寧に対応する岡嶋さん。 知り合いの方はもちろん、ふらりと来られた方にも岡嶋さんに声を掛ける方が多い。
その多くの場合、「どうしてこのようなものが撮れるのか?」といった感嘆を口にされるのをよく耳にする。
今回も感動され自分のお気に入りから機材の質問などいろいろと話されていた方が印象的だった。
また別の方はディングルの風土について質問されたり、紙の質問をされる方もいらっしゃった。
|
|
|
基本的にご本人は期間中在廊とのことだったが、
何んらかの理由で不在のこともあるだろう。
そういう場合のために中央のテーブルにはメッセージ箱が設置してある。
ぜひ感想などを書いて投函していただけると、ご当人も嬉しいことだろう。 |
|
|
|
|
今回の写真展では写真集ともう一つ、
「デジタル時代の作品政策論 私と写真」という読み物が販売されている。
「私と写真」に関しては、エッセイ的な要素と
参考書的な要素が詰まった一冊と言えるのではないかと思う。
ご本人の今までの体験談に織り交ぜて、
様々な切り口で独自の写真論が書かれた一冊である。
|
|
|
|
10年経ったディングルは変わらずにいてくれた。
このあとの ○年後、はたしてどんな風に迎えてくれるのだろうか?
今は誰にもわからない・・・。 |