岡嶋 和幸ギャラリートーク
  「ボクが写真展をやる理由撮影記
内部の撮影は許可をいただいて、掲載しています。
岡嶋和幸さんのギャラリートークに行ってきました♪
岡嶋和幸 ギャラリートーク
 「ボクが写真展をやる理由
会期: 2013年10月19日(土)
場所: アイアイエーギャラリー
開館時間 17:00〜
交通: 東京メトロ日比谷線・小伝馬町駅より徒歩4分
JR横須賀線・総武快速線・馬喰町駅より徒歩4分
住所: 東京都中央区日本橋小伝馬町17-5 7ビル1F
電話: 03-6661-7170

ペア写真展「記憶の森に紡ぐ」と「彼方の森を泳ぐ」の
イベントギャラリートーク「ボクが写真展をやる理由」。
コンスタントに開催する写真展。何故?誰のために?!
今、ひとつの謎が明かされる・・・のか??!


写真展開催後、最初の土曜日 17:00。
雨を心配する空模様の中、
ギャラリートークがはじまった。
お題は、「ボクが写真展をやる理由」。
ある意味、今回の写真展と微妙にずらしたお題が、
いかにも岡嶋さんらしいと思ってしまう私である。(笑)
とはいえ、もちろん今回の写真展の裏話なども
しっかり、たっぷり聞くことの出来る時間だった。
トークは、シナリオはなく、普段と変わらない雑談形式。
しかし、話しているのは岡嶋さんひとり。当たり前だけど(笑)
写真の説明や昔話、余談へと、緩やかに話が飛びながら、
少しばかり肩の力を抜ける雰囲気の中、時間が過ぎていった。

 
岡嶋さんは30歳代後半頃から頻繁に
「40歳代は年に一つは写真展をやる!」と、
周囲に宣言をされていた。
その宣言どおり、2007年3月の
「アイルランド紀行リング・オブ・ディングル」を皮切りに
確実にひとつは、最近ではふたつ三つと
意欲的に写真展を開催されている。

そして、今年で7年。
なぜ、岡嶋さんは写真展をやるのだろうか?
もちろん、写真家だからという理由は大前提なのだろうが、
発表することの意義に何を求めているのだろうか?
そんな胸の内を語った今回のギャラリートークである。
岡嶋さんにとって、写真展とは?
それは、「自分自身の引き出しを広げるためのもの」。

写真展をすることで
客観的な反省や発見、再認識をする。
見に来てくれる方からの多くの感想や意見。
実際の作業からの失敗や工夫。

仕事や作品を撮っているだけでも
それなりの引き出しができるものだが、
額装し、飾り、見ることで
より大きな引き出しを持つことが出来るという。

もちろんそこには、本人の意識というものが
大きく作用するのだろうから、
他者が同じ事を実践したとして、
新たな引き出しを得る数は変わってくることだろう。
岡嶋さん曰く、実は写真展を実現するために動き出したのは
30歳の頃だったという。
しかし、当時の公募では選外が続いたそうだ。
その当時は落ち込まれたことと思うが、
この場で言われたのは、
「写真の善し悪しというよりも、見る側の好みや思惑」だと言う。

当然、審査も公明正大に行われているのだと思うが、
そこはやはり人の目である以上、好みに寄りがちであったり、
企業であれば、全体の流れ的に・・・なんて思惑に左右される場面も
想像に難くないだろう。

とにかく岡嶋さんの場合は、師匠に見てもらったりして
手応えはあったものの、なかなか実現に至らず、
最後に認めてもらえた所があったのだが事情により立ち消えたため、
「自分はまだ早いんだ」と判断して30歳代は
目標に向けて温存の時期に充てたという。
30歳代半ばから目標の写真展を目指し精力的に撮りためた
そして、いざ、写真展!という時にした事は、
「まとめたものを、周囲の誰かに見てもらう」こと。
”写真展”という性質上から鑑みて、
柔軟に成功への最短ルートを模索した結果ということか。

今までの写真展での話も合わせて想像するに、
「こういう風にしたい」と考えを明確にした上で、
餅は餅屋!プロフェッショナルな方々に
専門分野を相談されているのかもしれない。

また、毎年開催するにあたって、
常に4、5のテーマを持っているという。
機会があると小発表をし、テーマについての検討をするらしい。
その時に残るテーマが今回のような写真展として
お目にかかれるということなのだろう。

  

  






  

場所柄か来場者のほとんどは、
ご本人と何らかの繋がりがある方々のようだった。

話の中には、前にどこかで聞いたことが…
という方もいらっしゃったらしく、
時折、話の流れにウンウンと肯いている様子も見受けられたが、
それでも、改めて自分の引き出しに詰め直しているような
和やかな中にも真剣な表情で聞き入っていた印象があった。

椅子もあるだけ出されていたようだが満席のうえ、
立っていた方も多く、あとから来られた方などは、
開け放たれたドアの外で話を聞かれていたようだ。

もう一つは、”自分の20年の差”である。
20年前の撮影が違うカメラで露出もバラバラなのに対し、
今回の撮り下ろしは、同じカメラで同露出。
そこに自分の未熟と成長を感じたという。

逆に、当時のセレクトと今回のセレクトでは、
選んだものがほぼ、一緒。1枚加わっただけである。
”選ぶ”事に関しては変わっていないと
自身の中で認識されたようだ。

当たり前であるが、”今回開催のふたつ”も写真展である。(笑)
ということで、モチロン!それぞれの裏話も披露された。
「あの写真の子はねぇ、、」などと会場の作品を見ながら
撮影当時のエピソードや、今回の準備までの苦労話など、
いろいろな切り口で語られた。

話の一つに、”20年前のフィルム”がある。
お気に入りの写真ほど、状態が悪くなりやすい。というものだ。
理由として考えられるのが、
お気に入りであるがゆえに機会があればプリントしたり
スキャンしてデータ化したりしたくなる。
すると、触ったり光を当てる時間が多くなる。
そのため他のものより状態が悪くなる。というものだ。
同等の理由でスリーブの端にあった作品のフィルムも傷んでいたそうである。
よもやま話的なところでは、
当時はカッチリと水平を出す自分の写真が
ある理由から嫌いで悩んでいたというのだが、
いろいろと考えるうちに、そういう性格なのだと思い至り、
割り切りというか、思い切りというか、
「しょーがない!」と思えるようになったそうである。
今では「水平が出てないと気持ち悪い…」と酔ったような
げんなりとした表情とともに語られることもある。(苦笑)
ボクが写真展をやる理由。それは真摯に写真と向き合う形だった。
省みて、また前に進む。
自己解決するものもあるだろう。会話の中から生まれるものもあるかもしれない。
それが何かは今はわからない。でも、やってみなけりゃ手に入れることもできないのだ。
自分の過去と向き合うために、さまざまな未来と向き合うために。
今までも、そしてこれからも「ボクは写真展をやる」のだろう。


  

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