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今回の会場はOM SYSTEM GALLERY
旧オリンパスギャラリー東京、と聞けば
「あ〜、ハイハイ!」と判る方も多いだろう。
新宿西口から見てバスロータリーの向こう側の左地下道。
大江戸線都庁駅からなら、右側の地下道。
といった説明で判るだろうか。
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会場内は、同サイズの作品が時どき変化をつけながら、気品のあるスマートさを醸し出している。
会場の雰囲気も相まって、落ち着きのある空間である。
が、しかし額装による効果なのか重厚な威圧感はなく、居心地の良い空間に仕上がっているのが絶妙と言えよう。
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今回伺ったのは開催2日目。
最近の気候の不安定さもあって、
この日も関東は、一時的な激しい雷雨に見舞われたが
来場者は途切れることなく訪れていた。
濡れずに移動できる場所というのも大きいと思うが
相変わらずの人気ぶり!と言ったところである。
そしてこれは少しクスッと笑ってしまったエピソード。
「馴染みすぎて、見ていても認識していない」ということがあると思う。
まさに来場者にとって、カラスがそうだったのだろう。
会場を後にした方々から「・・・居るんだけど。」と
メールが来たとか来ないとか・・・。
清水さん曰く、「・・・、そりゃ居るでしょー」と会場を指さしていた。(笑)
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場所柄もあるだろうが
写真展巡りで訪れる方も見受けられた。
多くの方はフラリと入られて一通りご覧なったらそのまま帰られるが、
お一人、かなり長く滞在されたのち、
すごく満足そうに会場を後にされたのが
とても印象に残っている。
遠方から東京に来たので
写真展巡りをしているのだと仰っていたが
いい出会いは楽しい思い出になった事だろう。
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今回の作品は新型コロナのパンデミックで影響の大きかった時期に撮影されたもの。
緊急事態宣言が発令され、「一歩も外に出なかった」という方も多かっただろう。
作者も仕事以外は家に籠もり、デスクワークに徹していたものの、
写真家としてこの未曾有の事態を残せていない事に苛立ちを感じていたという。
しかし、2020年9月の写真展「トウキョウカラス」を転機に徒歩圏内のカラスを撮り始めた。
カラスを通してコロナ禍の東京を記録しよう考えたのだ。
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そして前回の写真展は約30年前のフィルムモノクローム。
年月と共に移り変わった街の今昔も記録として残ることだろう。
また、今回はデジタルでのカラー撮影ということで、
フィルム撮影では難しかった暗所・悪天候、飛翔などの表現にも果敢に挑戦したという。 |
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暗部に強いデジタルだからこその、クリアな作品が顔を揃えている。
カラーだからこその質感や臨場感が、場を華やかに彩っている。
何枚でも気にせずに撮れるデジタルだからこそ、何度でもチャレンジすることができ、貴重なシーンを見ることができる。
そんなフィルムモノクロームとは、また違ったデジタルカラーならではの清水テイスト。
だけれども、何かちょっとエッセンスの加わった、どこかひと味違う作品達である。
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街の記録もさながらではあるが、タイトルは「トウキョウカラス」。
当然、カラスに関するアレコレが主軸である。
今回目を引いたのが、独特の美しさを持ったポートレート。
「カラスの濡れ羽色」とはこういうことか!と思わず納得するような色合いや、
ホワホワとした羽毛、生きざまが切り取られているはずが
カラフルな背景でキュートなポーズにも見える仕草。
カッコいい作品の中に可愛い写真が散りばめられている。
また、生態に詳しいからこそ撮れる珍しいシーンや、
子育てのミニプチドキュメンタリーなど学術的な視点での記録もあり、
ちょっと賢くなった気分も味わえる・・・かも?(笑)
会場にある子育て作品の巣は住宅街にある鉄筋(ハンガー)製、
一方、渋谷などの繁華街では木製なのだそうだ。
逆じゃない?と思ってしまいそうになるが、確かに繁華街で洗濯物は、、、ない。(笑)
しかしながら、東京では作りたてのカラスの巣は見つけ次第撤去するらしく、
巣を見つけて子育てを追い続けるのは難しいと言う。
そういう意味でも今回の作品は今後貴重になってくるのかもしれない。
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ナニカ、タベモノ、アリマセンカ |
清水さんの写真展の見所のひとつは、肩の力が抜けるほどのキャプションである。
至極まじめなキャプションが続いてる所にコミカルな文字が飛び込んでくるのである。
軽く脱力させるのが、なんとも賢いいたずらっ子である。(笑)
しかも、キャプション以外表現がないだろうと思わせるセンスは、ただただ脱帽である。
カラスが園児のようだと保護者気分になってしまうと言う清水さん。
愛情があるからこその、言の葉なのだろう。 |
タピオカカラス |
早い者勝ち、奪ったもの勝ち、飲み込んだもの勝ち |
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清水さん曰く、一度は分厚い立派な写真集を作りたい!
ということで会場ではアナザーカット満載!の
写真集「トウキョウカラス」が発売されている。
なお、写真集を購入された方はトートバッグも購入することができる。
2日目で、すでに「やばいかも・・・」とつぶやきが聞こえていたので
欲しい方はお早めに!
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そして、写真集に収録されている写真は
会場入口近くのモニターで見ることができる。
ただ、ランダムに表示されていると思われるので
全部見終わるにはどのくらい掛かることやら、、。(苦笑) |
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会場のあるOM SYSTEM PLAZAには、GALLERYとCreative Wallの2カ所展示エリアがある。
そして今回、清水さんが
「カラス繋がりのコラボ、いいじゃん!」ということで
北海道のすすきので ”からす” を撮っているセオノリエさんに声をかけたそうだ。
セオノリエさんはアマチュアの写真家さんで精力的に活動されており、今回写真展「すすきのからす」を開催。
今回の作品はすべて、
写真展が決まってからの撮り下ろしだそうだ。
軽妙なスナップ感満載の作品がそろい踏み!である。
こちらにも記名台横にアナザーカットが収められたファイルブックが置いてあるので、どうぞご覧あれ。
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人の営みを利用し強かに生きる都会のカラス。
多くの人間からは難儀な厄介者と思われているのだろう。
しかし彼らは人間のように快適な暮らしを求めて生きているだけではないだろうか?
これを機会に、そんな疑問を自分に投げかけてみるのも良いかもしれない。 |