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会場は、エプソンイメージングギャラリー エプサイト。
新宿駅西口から都庁方面へ向かう途中にある。
西口からまずは地下ロータリーを目指し、ロータリーを右斜め前方の都庁方面へ向かう。
長いトンネル状の通路を抜けたすぐ右側の黒い高層ビルが会場のある新宿三井ビルだ。
ロータリーから左側に進んでも同じような作りのため間違いやすいのでご用心!
万が一、トンネルの通路まで行ってしまったらそのまま出口まで進みきってから
横断歩道を渡る方が判りやすく、早いかもしれない。
また、会場であるエプサイトはビル正面を見て都庁側の入り口付近にあり、
トンネル付近の入り口から入る場合はすぐに見当たらないのでお気を付けを。
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会場は、エプソンのショールームに隣接したところにあり、
今回はギャラリーエリアと少し明るい環境の壁面スペース、
それと外通路に面するガラス張りの壁面に展示されている。
ギャラリースペース自体は小さめの空間であるが、
すべてを合わせるとかなりの点数があり
ゆったりとした空間を味わいつつも見応えのある構成となっている。
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ギャラリーエリアでまず目に飛び込んでくるのは、
大きな障害物(笑)・・・もとい!壁から吊り下げられた写真達である。
障害物というのはモチロン冗談で、私的にはこれらがあるからこそ、
いろんな意味で”奥行き”を出しているように感じられた。
ひとつは大小の写真を壁面に展示して縦横の広がりをもたせたところに
前後の距離感も意識させ、物理的な奥行き感が出ているように思う。
また他にも、「New Type」というテーマの中にあるいくつかのカテゴリーを
切り分けることなく、かといって、ごちゃ混ぜにしてしまうでもなく
心地よい案配で”切れ目”をスムースにつなげているように感じた。
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壁面スペースで面白いのは、やはり”巻物”だろう。(笑)
このエリアでは2種類の和紙を使用しており、
ひとつは額装し壁面展示、
そしてもう一つはロール紙を切ることなくズラッとプリントしたもの。
このスペースは「CHANGE」からの抜粋で
1997〜2011までのモンゴルが切り取られている。
また、この時代というのは一眼レフカメラの
フィルムからデジタルへの過渡期でもあり、
作品の中にはフィルムをスキャンしたものも入っているそうだ。
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今回お邪魔したのは、初日から1週間過ぎた3月23日。
ひっきりなしではなかったものの来場者は多かった。
この日、清水さんは不在と聞いていたのだが
着いてみると・・・姿があった。(笑)
長い会期なので常時在廊は難しいが、
時間があればできるだけ会場に居るようにしているとのこと。
この日も来場者のご質問に答え、裏話も披露されていた。
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今回の写真展タイトルでもある「New Type」の作品群。
古き文化に新しいものが取り入れられ、
それが”当たり前”となったモンゴルである。
街や人々の暮らしは大きく変わりながらも、
広大に残る自然は今も美しい景色を見せてくれている。
一方、便利な暮らしを手に入れた人々には、
以前のような力強さが感じられなくなったと作者は言う。
「日本でもよくある!(笑)」と思える写真達も何点か・・・、
このような場面が作者の感想に繋がるのだろうか。 |
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ちなみに写真展案内に使われた左の写真だが、
カップル・・・ではなく姉妹だそうである。
どちらも日焼けがイヤッ!ということで完全防備。
いやはや、聞くとナットク!な一枚である。 |
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これらの作品は、ドイツのバライタ紙とエプソン純正紙の絹目にプリントされており、若干、メリハリの利いたやや硬調のモノクロである。
もう一方の「CHANGE」は2種類の和紙が使われ、計4種類となるのだが、
紙ありきではなく、仕上げた作品にどの紙が一番合うか?
によって選択がなされるようで、なるほど仕上げと黒の締まる紙が相まって、
cool!な(カッコいい!)作品達である。 |
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次はエピソードを少しご紹介。
まずは、扉を開き飛び出す少女の写真。
新しい扉を開いて「さぁ、行こう!」という
メッセージが込められた一枚である。
少し勢いのある、私の好きな中のひとつである。 |
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こちらは多くの人を惹きつけた写真。
さて何であるか、お解りだろうか?
正解は湖に張った氷の文様である。
とても透明度が高く氷の上から水底を泳ぐ魚が見えるという。
その水が凍る過程でできた水泡が描く芸術作品である。
ほとんどの方が、何なのか?というよりも自然の美しさに足を止めていた。 |
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一方こちらは、文字通りのNew Type。
すでに日本ではあまり見かけなくなった宮型霊柩車(左)と
充実したネット環境でPCを操作する少女(右)。
左の霊柩車は日本では敬遠されるようになったため、
”走るお寺”が人気のモンゴルに輸出されており、
そのまま霊柩車として活用されているらしい。
右の写真は机回りだけ見ると日本さながらである。
今となってはネットショップも普及しているからだろうか。
PCの環境は日本と大差なく、
子供もFacebookやTwitterなどを楽しんでいるという。
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それから、この写真は人のシルエットと遠くに見える三日月。
モンゴルの正月は初朔月だそうで、(実際は少しずれることもあるらしい)
モンゴルの人々にとっては正月から最初に見える三日月もまた特別な意味を持つという。
年が明け、一年のスタート!といったところだろうか。
エピソードを知らずに見ると普通の写真だが、知った後では重みのある一枚となる。
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最後に、空間のヒミツをひとつ。(笑)
ギャラリーエリアにある吊された写真だが、裏からも透けて見ることができる。
フワッと浮かぶ淡い陰影が、またなんともいえない雰囲気を醸し出している。
設営中、「こっち(裏)を入り口に向けようよ」と意見が出たとか出ないとか・・・。(笑)
それが冗談話であったとしても信じてしまうほど、写真としての見応えがある。
気がつかずに観ていたとき、大判が部屋を仕切っている割には窮屈ではないなぁと
不思議に感じてはいたのだが、どうも裏からも見られるこれらの写真が一役買っていたらしい。
ただ、作者として裏が好評ってどうなのよ?というところだが、
この話をしてくれたのは、当のご本人である。(笑)
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さて、こちらは「CHANGE」の作品群。
社会主義から民主化に移行する”現在(?)進行形”の作品達である。
作者曰く、貪欲に発展を目指す”熱”が感じられた時代だという。
確かに古き良き日本にも通ずるような、力強い逞しさが感じられる。
これらは伊勢と阿波の和紙を使用しており、柔らかい仕上げとなっている。
フィルムにコンデジ、そしてデジ一眼、さまざまなカメラでの作品だが
トーンが見事に揃っているのも心地よい。
また、巻紙の上に木でできたY字のものが置いてある。
これはラクダの鼻に通すものだそうだが、作っている人と使用しているラクダの写真が作品に入っている。
制作と使用時の写真があり、実物は目の前、というのも面白い。
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今回、作者に撮影許可を求めたところ「今回は会場内撮影フリー!」とのこと。
普段写真展へ行くと撮影禁止の文字を目にするのだが、
今回は逆の案内が掲げてあった。(笑)
長丁場ゆえの不在対策なのだろう、ありがたくうれしいご配慮である。
じつに、面白いイベントは、よりたくさんの方々に知ってもらいたいものである。 |
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会場には写真とともに取材の様子を映した動画が流されている。
場所は、「CHANGE」が展示された壁沿いに
ショールーム側へ曲がってすぐの壁面。
実際は明るめの環境のため映し出される画像も
これほど鮮明な訳ではないのでお見逃し無く。
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こちらは、チョット余談。
巻物の端にゲルとモンゴル衣装の人形が置かれていた。
遊び心に撮っていると、清水さんが「このゲル、開くんだよ」とパカッ!
なんと中が見える仕様になっていた。(笑)
今回のように、重し代わりなど
モンゴルの小物が会場に使われることがあるので
気になったものがあれば、尋ねてみるのも一興かもしれない。
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2冊の本から飛び出した今回の写真展。
モンゴルの転換期とも言える歴史の足跡であると同時に、
”清水哲朗”という人物の青年から壮年にかけての軌跡のひとつでもあるのだろう。
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