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3月3日(土) 19:30。
ご本人が会場にいらっしゃる最終日に、
ギャラリートークショーが行われた。
土曜日とはいえ、
ギャラリー閉館後の開催という時間にもかかわらず
多くの参加者がその時間を目指して来場された。
作品に囲まれた空間の中で、
どのように感じ、思い、シャッターを切ったか、
また、写真というものに対しての様々な思いなど、
多岐にわたった話題が語られた。 |
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会場の中央でご本人を扇状に囲む。
ちょうどライブ感覚の距離感である。
本人としても伝えたかったことなど、
自然な言葉で語れたのではなかろうか?
しかし、”おとなしい”のは最初だけ。(笑)
段々とノッてきて動きのあるライブへと変わる。
止まることを知らない動きとともに語られる口調にも熱がこもる。
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熱心に聞き入る参加者のみなさま。
たぶん、どのような撮影方法だったとか、
コツは語られるか?とか、そのような期待をされた方も
中には、いるかもしれない。
しかし、その期待は裏切られることになるのだが、
話が進むにつれ、納得の色が濃くなったことが覗えた。
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内容の一つは写真展の解説。
写真展にあたってどのようなコンセプトで
何を考えながらここに並ぶ写真を選んだのか?
というものである。
今回、ご本人の目指されたものは「大人の絵本」。
つまりストーリーが作られている。
富士山に降った雪にはじまり、やがて大地の生き物を育む。
そんな連鎖が柔和なイメージで綴られている。
しかし、このストーリーを思いついて
撮り貯められたものでは決してない。
作者が提唱するネイチャースナップにおいて、
心地よい瞬間を撮っていくと、”富士の水”というものに
惹かれている自分が感じられたという。
このことを踏まえながら写真を組み上げられたそうだ。
つまりどんな写真でもまずは自分が楽しいものでなければ
心のある一枚にはつながらないということであろう。
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今回の写真展は実は2部構成とも言える。
「大人の絵本」である”水の旅”と、
富士山が育むさまざまな景色である。
水が旅する先はいく線にも別れ、
生きとし生けるものに恩恵を与えている。
それゆえに、絵本の中だけでは語り尽くされない
美しく・心豊かで、素晴らしい風景や瞬間がある。
それらをまとめたのが、順路後半となる。
こちらでは激しく動く雲の瞬間であったり、
小動物の生活の一部や伸び伸びと育つ植物など、
豊かな自然が写しとめられている。
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最後に、、、というか、本当は、
あんなことやこんなこともあったのだが(笑)、
その一部として語られたのが、
写真というものについて。
一言で書いてしまうと思いっきり
広義となってしまうのだが、
要は写真に関してのいろいろである。(笑)
その一つに、
「写真を組む」ということを提唱されていた。
コンテストなどで1枚で納得させる写真もあるが、
写真展や写真集など組み合わせることで、
細い糸があでやかな布を織り上げるがごとく、
より深く幅広い表現が可能となる。
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もう一つには、プリントまでを含む仕上げ作業である。
苦笑混じりで話されたのだが、
今回のプリントはほとんど調整することなく
ストレートに出力されたとのこと。
元々、レタッチをされないということもあるが、
イメージのまま撮れるのだからそのまま出せばいいということである。
時折、撮影時にきちんと撮影されていない写真を
レタッチしたものを目にすることがあるが、
しかし、どこか何かしら不自然さを感じるという。
今のカメラはほとんどレタッチを必要としないくらい
よくできているのだから、丁寧にきちんと撮影すればよいということであろう。
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最後に、質問タイム。
こういう場では意外と手が上がらないことが多いが
あちこちから質問の声があがった。
一つ一つの質問に
丁寧に答えられていたことは言うまでもない。(笑)
中には、作者と縁のある山梨の高校の生徒さんが
積極的に質問されていた。
自分の昔の頃の姿でも重ねていたのだろうか?(笑)
とても楽しそうに答えられていた。
また、この質問タイムの時に
ご本人が投げかけたメッセージが、
「たくさん撮って、たくさん失敗すること。」
たとえ、頭で判ったとしても、
体や勘はついてこないということだろう。 |
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どうも、予定の時間をかなりオーバーしたらしい。。。
しかし、聞き入った参加者にとっては短い時間だったのではないだろうか?
終了の合図と共に、現実に戻ってきたような表情がそこかしこに見受けられた。
作者の思いを受け止められた参加者の心には温かいなにかが宿ったことだろう。
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