イベント撮影記 ※イベントの撮影掲載は作者の許可を取ってあります
デジ侍の写真展!
ひとつもふたつも、みっつも仕掛けをして開催中♪
デジタル侍写真展「風林火山絵巻」
開催期間 2006年5月10日(水)〜5月31日(水)
開催時間 10:00〜17:30(日・祝日・入場無料)
開催場所 キヤノンSタワー2階オープンギャラリー
  東京都港区港南2-61-6
(JR品川駅港南口より徒歩約8分、京浜急行品川駅より徒歩約10分)
Tel.03-6719−9021
詳細案内はこちら

次に紹介されたのが、各侍の作品秘話。
私の写真展レポートで、サラリとだけ紹介したのはこのためである。<これホント!(笑)
今回の写真展テーマは、「地球大好き!」を根幹にした「記憶に残したいもの」。
初日に写真を見た時点で(写真が)熱く語ってきたので、今回用の撮影だけ済ませ、会場の雰囲気の紹介にとどめた。

案の定(笑)、各侍のどこか嬉し恥ずかしげな口調の中にも、
「これって、どうよっ?!どう思うよっ??」と問いかけたいものが見え隠れしていたように思う。
まずは、吉田さん。
ライフワークに巨樹を撮影しているわけだが、
そのライフワークそのものが、
今回のテーマそのものとも言えるのだろう。

長い年月に起こった様々な出来事をその肌に刻む巨樹。
また、文化というもののなごりが形取られた遺跡。
ともに、遠い記憶を残したもの。
これからも、大切に残していきたいものと言えるのではないだろうか。
吉田さんのもう一つの試みが
8×10を凌ぐ、高解像度の世界。
今回は30〜40カット近くをつなぎ合わせ、
超高精細な写真に仕上げられている。


 
次に土屋さん。
舞台然としたパノラマ絵巻を中心とした3部作である。
築地生まれで在住の土屋さんにとって、
隅田川はふるさとそのものなのだろう。
江戸という昔から栄えている土地柄、
古きよき時代の川の画も、目にする機会が多いのだと思う。

たかだかン十年前の都会では、
劇的な様変わりは少ないのかもしれないが、
明治・江戸、、またその先へと川の記憶の流れを遡った時、
現代の川は、どう映るのだろうか?
古きよき時代の人々が現代を見た時、
彼らはどのように感じるのだろうか?
土屋さんのパノラマも吉田さんと同様の手法。
パノラマに関しては篠山時代に学んだのだという。

今回の撮影では、
イメージを土屋さん一人、頭の中で持ち、
役者さんへの演技指導に徹するため、
シャッターを待機の役者さんに預けたとのこと。

「なんて大胆な!」と思う人も多いかもしれないが、
夜間撮影でもあり、表情を追うわけでもないので、
シャッターチャンスというものが希薄なのである。
逆に、連帯感が生まれ、
現場の一致団結が感じられたという。


  
そして岡嶋さん。
パノラマのように配した16点からなる組写真である。
題名は「みちくさ」。
同年代の多くの人には、
何を意味するか判ったのではないだろうか。

福岡に育った岡嶋少年にとって、
みちくさとは自然との挨拶そのもの。
しかし今では、舗装され、
建物が建ち並ぶ景観になってしまったという。
そんな思い出となってしまったかつての道を、
とある場所で見つけてきた。
実は、その場所も一匹の蝶によって、明らかに
少年の駆け回った道ではないことが語られている。
せめて、まだ自然との共存が残っているところは
そのままであって欲しいとの願いがこもっているのだろうか。


この作品の見所は、両端の2枚、、、ではなく4枚。(笑)
何気なく見ると縦位置の1枚に見えてしまう両端だが、
実はよく見ると、上下2枚から成り立っている。
上と右の写真で見比べてみると判るのではないだろうか。


  
次に、小林さん。
普段から都会のネイチャーなどを撮り続け、
自然の大切さを訴えかけている写真家のひとりである。

今回もネイチャーという観点から、
失うと二度と取り戻せない大切さを訴えかけている。
それと同時に、「童心の心」という題名から
昔ながらの遊・民具も絡めて展示、
決して便利とは言えなかったが心豊かな時代を
振り返ってみて欲しいとの願いが込められているようであった。
今回の写真展では、
写真の題材とそこから連想される遊・民具を組み合わせてある。
展示会場で
「写真から物を想像したのか?それとも物から写真が?」
と疑問の声を聞き、また同様の質問が、
トークショー会場で出たのだが
正解は、被写体からの想像だそうだ。
自然から人が学ぶものは過去にも
そして未来でも多いのではないだろうか?

左の写真はある写真の下にあったもの。
これとペアになる写真は写真展レポートの方で紹介しているが、
両者を見比べて感じてもらえれば幸いである。

あと、今回の作品は和紙へのプリント。
意外とそれぞれに個性の強い作品群なはずなのに、
和というテーマと和紙によって
不思議と落ち着いた空間になっている。


  
そして、川合さん。
地球という美しい星に降り注ぐ、神秘的な光のファンタジー。
あまりにもダイナミックなだけにいつまでも
変わらずあり続けるだろうと錯覚してしまいそうになる。

しかし昨今の異常気象などからか、
今回の撮影も2週間のうち3回しか見られなかったという。
しかも大変儚いオーロラだったため、
より一層、大切さを噛みしめたらしい。

オーロラの見える厳寒の地は、
日本人にとって決して身近とはいえない。
しかし、身近でのことが地球規模への
影響になっている事を考えると
見事な画の中にも、ある種の儚さを感じるように思う。
今回のオーロラは、全て月の出ている時の撮影。
中には月との競演もあり、難しい露出を感じさせず
神秘的な美しい画に仕上がっている。

中でも右の写真はお気に入りだという。
理由は樹氷との競演が撮れたから。
オーロラは雲より高い位置に存在するため
当然ながら晴れていないと見えない。
イエローナイフは晴天率が高いため、
有名なオーロラのビューポイントとして知られているが、
今回は荒天続きの合間での撮影だったため出会えたのだそうだ。

また、オーロラは形は違えど同トーンになりやすいという。
普段はレタッチをしないが、
今回はイメージ先行で作り込んでいるものもあるらしい。
個人的感想を言えば、豊田さんの海の青とまた違った
宙の青(そらのあお)が飽きることなく楽しめると思う。


  
最後に豊田さん。
モチロン!・・・と言っていいかどうかわからないが(笑)、
海中の風景である。
ただし、ここは多くの工業地域を抱え込む東京湾。
生き物もさぞや住みにくいことだろうと思いきや!
意外にも豊かなポイントもあるのだそうだ。

暖流と寒流の入り交じるこのポイントでは
珊瑚(暖流棲息)と海草(寒流棲息)が群を作り同居する
世界的にもきわめて珍しい風景が存在する。
その2大群は魚たちなどの大きなゆりかごとなる。

地上に生きる私たちには、ここ海中の移ろいは見えにくいが
この豊かな風景を「消し去っても良いのか?」と、
また、魚たちが「オレタチノスミカダ!」と、
訴えかけているようにも感じられた。

豊田さん曰く、
今回の写真は報道写真を意識したという。
普段の美しく和める写真を見ているだけに、
写真の中のひどく物言いたげな表情が感じ取れた。

特に、代表的と言えるのが下の写真。
メイン被写体は”おもり”。
鉛でできているため、
人はもちろん海中の生き物にも有毒である。

しかし、珊瑚が身を投じて
自分たちの棲む海を守ろうとする姿がそこにある。
豊田さんはおそらく、
静かなる悲鳴にシャッターを切ったのだろう。


いよいよ、最後。
次はデジ侍の歩みを一挙大公開〜〜!!

次ページはこちら