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今回の写真展会場は、竹内敏信記念館 「TAギャラリー」
写真家である 故 竹内敏信さんの
事務所(作業場)だった場所に作られたギャラリーである。
会場はJR目白駅を最寄りとなり、池袋寄りの改札を出ると、
すぐ前が目白通りで左方向へ5分ほど行くと会場に着く。
駅前では改札を出ると橋の左側(下は線路)に立っており、
道路を渡って左方向へ道なりに進む。
最終的に「下落合三丁目」のバス停を目指し、
手前の路地を右に入るとスグ なのだが、
バス停までに郵便局と、教会?の入り口を通り過ぎたので
目印になるのではないだろうか。
会場建物は少し奥まっていて、
落ち着いた雰囲気の民家調なので見落とさないよう、ご注意を。 |
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外見は3、4階建ての普通のちょっとオシャレなお家といった感じ。
その表現から広さはご想像いただけると思うが、会場内は変形の部屋で、
ちょっと大げさだが、中央に立ったらすべての写真が鑑賞距離! という環境である。
しかし、グレー基調で暗すぎない照明が、落ち着いた雰囲気を醸し出している。
時によるのか、常時なのかは定かでないが、伺った時には玄関でチャイムを鳴らして鍵を開けてもらうシステムだった。
お一人在館されていたのだが、玄関付近にはいらっしゃらず不用心だからとういことだろう。
それから玄関に入ると「スリッパをどうぞ」と勧められ、
ほんの一瞬「誰かのお家・・・」という文字が頭を掠めたような。(笑)
ただ、このホッコリ感とご対応いただいた写真家で事務局長でもある中津原勇気さんの素敵な笑顔に
初めての会場への緊張感が解けていったことは確かである。
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今回の展示は比較的小ぶりなサイズでまとまっている。
多いと言える点数ではないと思うのだが、
多彩なシーンと場面展開のワザのせいか、実質以上の満福度合いである!
また変形の室内を活かしたのか 見え方に絶妙な動きもあって、私としては心地いい面白さがあった。
同じタイトルの写真でも、前回のシリウス展では大きなうねりを感じる展示であったが、
こちらは言うなれば、静かに回る ”記憶の走馬灯”といったところだろうか。
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レポート撮影にあたって今回は田中さん不在の平日にお邪魔することとなった。
初めての会場な上、田中さんも不在なので前もって了解を得るメールを送っていた。
目的としては即、オッケー!と簡単なものだったが、ご無沙汰だったこともあり 四方山メールに花が咲いた(笑)
ここからはその時に伺った話である。
まずは、田中さんのサイトにある「トンボ日記」。
書き始めてから昨年の2022年2月で、なんと!20周年だったそうだ。
その記念に「2022年の2月前後で、写真展を開催しよう!」とコロナ前から考えていたという。
しかし、コロナ禍となり作品をまとめるには至らず、コロナが落ち着いてからにしようと見送ったらしい。
ご本人としては区切りの写真展でもあるので、心の中では悔しい思いでいっぱいだっただろうと思う。
そんな矢先、2022年の秋頃に”関係者しか写真展ができない”と思っていた、竹内敏信記念館 TAギャラリーで
「少し前から”公募”を始めました。写真展、、やりませんか?」とお声が掛かり、公募枠第一号!と相成ったそうだ。
「作品もまとまっていないけど、開催のお声がけ・・・」と一瞬は戸惑ったのではないかと思う。、
だが、竹内敏信さんにはお世話になり、多くの元アシスタントの写真家さんともご懇意だという事から
2017年に開催した「東京トンボ日記」と新作で再構成し、ご恩返しの気持ちを込めて開催しようと決意したという。
これを機に「あ、自分でも写真展できるんだ!」と多くの方が応募してくれるといいですね!(^−^)b
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今回の作品は、
2017年開催の「東京トンボ日記」に新作を加えて再編したもの。
前回はディレクションを清水哲朗さんが担当されたそうだが
今回は田中さん自身で構成を行なったそうだ。
清水さんのエッセンスを残しつつ、田中さんの「テイスト」を
ブレンドしたのが今回の写真展と言ったところだろうか。
そのせいなのか、どうなのか?!
前回から大きく転調した続き、、というか
「別の面」 を見せているといった感覚があった。
だから別のタイトルでもなく、パート2でもなく
同じ「東京トンボ日記」なのだろうと
勝手に納得した(笑)のは私だけだろうか。 |
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左の2枚は、まさに田中さんテイストと言えるだろう。
2つの「東京トンボ日記」をご覧になった方には
「それぞれの代表作(案内DMによく使われる作品)だから並べたのかなぁ」
と思われることが多いかもしれない。
しかく田中さん曰く、
「トンボを採って、捕まえたよ!」
という物語を隠しメッセージとして潜ませていたのだ。
なんと子供時代を彷彿とさせる仕掛けなことか!
「捕まえたトンボ」の写真。
このような写真は今までに見たことがないように思ったが
なるほど必然で、大きな意味のある一枚ということである。 |
ちなみに前回にも展示されていた右の作品。
来場者よりもっと大きく見たい!とのリクエストでプリントを大きくしたそうである。 |
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作品全体に感じたのは「あるある!な風景」。
懐かしいものだったり、最近でも目にするものだったり、、時間の軸は様々だが、身近で見たことのあるもの という印象である。
トンボになじみのない方でも、一つくらいは目にしたことがあるのではないだろうか。 |
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前回の写真展で感じたのは 「ほらほら!こんなに居るよ!!!」と
子供が大はしゃぎしているような
「大きなうねりのような抑揚のある 動」。
今回は大人が歩きながら何気なく目にしたり、
子供の頃の景色を噛みしめるように懐かしむ・・・
そんな「穏やかな落ち着いた 静」が支配しているように思った。
もちろん、作品一つ一つがどうこうと言うわけではない。
動きのある作品もあれば、めったにお目にかかれないシーンもある。
展示に関しても当然ながら抑揚がないわけではない。
しかし、会場の真ん中に立ったとき、
気持ちが弾む方向ではなく穏やかに落ち着いていくのが
カラダ全体で感じられたのだ。
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元々、「子供の頃の景色」を根底に撮影している田中さん。
東京であっても”いつか見た風景”を探し、意識的に、、無意識に、写真に収めているのではないかと思う。
ならば同じ作品であっても、見え方は一通りとは限らない。
それ故に、同じ写真展名に納得したわけである。
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田中さんの作品の中には、
いわゆる「図鑑写真」と言われる構図も多く存在する。
しかし、なぜか他で見る写真とはどこか違うのだ。
例えるなら、他で見る写真は”標本”で、
田中さんの写真は”生物”という感じだろうか。
我が家では「何でだろうねぇ・・・」と
ひとしきり”謎”に盛り上がったのだが、
結果”そこに愛があるから”で落ち着いた(笑)
まぁ、当たり前すぎて冗談交じりなのだが、
思うに田中さん的にはトンボのポーズとしてそうなっただけで
ただただ、トンボの生活として写し撮っているからこそ
似て非なるものに感じるのだろう。
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今回は田中さんのトンボ日記20周年記念ということもあり
撮影秘話が収録されたYouTubeをご紹介。
◆スチールの現場vo.2 トンボ写真家 田中博
撮影者は、写真家の稲垣純也さん。
「スチールの現場」というスチールカメラマン・写真家さんの
現地密着取材!を企画されている。
こだわりの機材もさながら、撮影に臨むコツなど
赤裸々なお話が満載である。
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なかなかお目にかかれないシーンもお得意の田中さん。
一般人では、見ることはできても
絵になる写真を撮ることは至難の業だろう。
それがたとえ撮影技術や機材が優秀であっても、、、だ。
生態を知って先読みができるようになり、
撮り続けて距離感をつかみ、
トンボに呼吸を合わせられるようになってはじめて
このような素敵な作品が撮れるようになるのではないだろうか。
中には本当に珍しい貴重な場面もあることだろう。
いつの日か後世の貴重な資料になるといいな・・・と思ったり。
資料ってことは、当たり前に居ないってことだから
それはヤだな・・・と思い直したり。
イロイロと忙しい気持ちにさせられる作品たちである(笑)
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Tシャツは S・GSのみ |
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写真展会場は3階となるが
1階では東京トンボ日記の図録やTシャツをはじめ
今までに執筆された本が販売されている。
その横には竹内さん写真集やご本がズラリ!(→)
こちらも購入可能となっている。 |
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最期にちょっぴりオマケ話。
会場のある建物は、一見、家屋風に見えるのだが
そこはやっぱり事務所仕様というところか!
屋内エレベーター完備である。
「こちらからどうぞ!」と案内され乗り込もうとすると
竹内さんのミニギャラリーが現れた!!
写真展会場行きのエレベーターは
何度も乗っているがこのようなエレベーターは
さすがに無かったと思う。
ちょっと粋なオシャレ感にパチリ!
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東京で生きるトンボたち。
コロナが落ち着き、心置きなく活動できる本来の生活が戻って来たとしても撮り続けるのだろう。
次に私たちが目にするのはどのような場面だろうか・・・。
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